自己主張する島の言葉 

しまふとぅばであしば 2月18日 大宜見村でゆんたく講座

うちなーぐちで言葉は「くとぅば」。沖縄全体の言葉を総称して「しまくとぅば」と呼ぶ。しかし地域によって言い方が異なる。与那国では「むぬぃ」、石垣では「むに」、宮古では「ふつ」。筆者の出身地伊是名では集落によって異なり「くとぅば」「ふとぅば」「ふとぅわ」の三種類。生を受けた諸見区は「ふとぅわ」、これが母語である。母語には限りない愛着と郷愁を感じ、ンジナンチュ(伊是名人)だというアイデンティティが確認できる。

前置きがながくなったが今月18日、大宜味村で表題の講座があった。教育委員会の生涯学習担当者が、しまくとぅばの講座を企画したところ教育長が大宜味では言葉は「ふとぅば」だからと、語呂合わせで9月18日ではなく2月18日を提案し実現したという。これを聞いた時、「しまふとぅば」が自己主張していると感じ講座に出かけた。画一的な概念ではなく島々地域の状況に合わせた主体的な取り組みが言語復興にとって大切なことなのだと。

当日、参加者は皆しまふとぅばで自己紹介。楽しみながら学ぶというユンタク講座形式で進行、思い思いに会話を交わし目が輝いていた。教育長は地域のうんがみ・海神祭もヤマトグチで司会しているとことに疑問を呈し、かねてからしまふとぅば継承の必要性を痛感していたようだ。今後も継続して取り組みたいと意欲を示している。

講座の中で、ある方言札世代の受講生が紹介したエピソードが強く印象に残った。戦前、東京で沖縄語を話すことに羞恥心を抱いていた大宜味出身が、「きざはむぬいいしない会」(喜如嘉の言葉を話さない会)を結成するため、とある場所に集まった。最後まで参加者の話を聞いていた一人の女性が「言葉を忘れたら島を忘れる。使いましょう」と提案。その時、隣の部屋の襖が空いて出てきた著名な県出身研究者が「したいひゃー」と叫んだという。これがきっかけで会の名称を「きざはむぬいいする会」に変更したというのだ。なんという爽快なエピソードだろう。当時は沖縄出身を恥じて身分を隠し、改姓したりした時代だ。件の女性は沖縄出身ではなく東京出身の沖縄人嫁だったというのが何とも皮肉な話だ。己の歴史文化にもっと誇りを持てと諭された気がしたことだろう。民族の言語を話す権利は、「世界言語権宣言1996年(バルセロナ)」で謳われている。大宜味村では現在。、村史の中で「しまふとぅば編」を発刊する作業を進めている。

3月5日 琉球新報論壇に掲載