しまくとぅば普及継承へ話者増やしたい

母語は何語?

あなたの母語は何語ですか?と問われたら私たちうちなーんちゅは、どう答えるだろうか。「愚問だ、日本語に決まっている」と一笑に付されそうだが、果たしてそうだろうか。しまくとぅばの話者がなかなか増えないのは、県民の深層心理に「しまくとぅばは母語(だった)」という認識が欠如しているからではないか、と最近思う。

母語を辞書で引くと「幼時に最初に習得した言語」「自分の本国の言語」とある。筆者は1945年伊是名島生まれで艦砲の喰えー残さー世代。当然しまくとぅばで育ち「ふとぅわ(伊是名語)」つまり沖縄語が母語である。「自分の本国の言語」という定義からすると母国語は日本語だ。しかし何か違和感があるのはどうしてだろうか。

琉球処分で沖縄県になる以前、沖縄人(うちなーんちゅ)の母語・母国語は沖縄語(うちなーぐち)・しまくとぅばだった。しかし約140年経過した今、改めて「母語、母国語は?」と聞かれると、「沖縄語・しまくとぅば」だと答える人は何%だろうか? 戦後しばらくは沖縄語・しまくとぅばを使うと方言札で罰せられ、標準語励行は地域によって復帰前まで続いた。親世代が沖縄語・しまくとぅばを話せず幼児期から日本語のみで育った沖縄人の母語と母国語は同一で日本語になっている。もはや、沖縄語・しまくとぅばは外国語のような言葉となっているのだ。

このような状況下で話者を増やす普及継承の課題は、沖縄人が日本国民として同化される過程で言語を奪われた、否自らも進んで放棄した時期があったことを総括すること、そして母語を復興させるんだという認識をもつことだと考える。

ハワイは米国に併合された後、法律でハワイ語が禁止され使用者は罰則が科された。消滅寸前だったが40年前、自分たちの言語・文化を見直そうという、いわゆるハワイアンルネッサンスが起こり、今では保育園から大学までハワイ語の教育が行われている。しかも英語に続いて第2言語、公用語になっている。

言語復興は私たちの魂を取り戻すことにつながるのだ。つい先日、「しまくとぅばの復興は沖縄人の人間回復だ、沖縄ルネッサンスと位置付けたい」と話していた豊見城市の「語りの会」主宰者の言葉が重なる。しまくとぅば連絡協議会の結成当時の私どもの認識とも一致する。

1996年にバルセロナで採択された「言語の権利に関する世界宣言」は人権回復ということにほかならない。母語を取り戻そう。

2017年2月17日 沖縄タイムス論壇掲載