しまくとぅば 魂の言語 

普及継承 ハワイに学べ

沖縄タイムス 2016年12月2日 論壇に投稿しました。

今月4日の週刊しまくとぅば新聞「くとぅば風 くとぅば波」を読んでの生命力を感じた。NHK日本語発音アクセント新辞典」で「チャンプルー」の発音を沖縄の伝統的なアクセントと大和風のアクセントを併記したという記事で思い当たることがあった。実は電波メディアに於ける沖縄語の発音に、かなり前から違和感があった。

ゴーヤーは沖縄の庶民料理の定番ゴーヤーチャンプルーの材料。ビタミンCが豊富な夏野菜で現在では県外でも日よけ用にベランダで栽培しているのをニュースでよく見かける。熱帯アジア原産のゴーヤーが北国の北海道でも栽培できるそうで今や、すっかり全国版となっ感がある。この「ゴーヤー」の書き方・表記法と発音が、かつてマスコミの中で歪められた時期があり、しまくとぅば・うちなーぐちの普及に携わっているものとして心を痛めていた。NHKが以前、ゴーヤーを「ゴーヤ」と表記、発音の仕方もアナウンス用語でいう前高といって「ゴ」にアクセントを置き、長音の棒線「ー」を省いた尻切れトンボで放送していた。聞いていて妙な気分になったものだ。それがいつの間にかゴーヤーの表記に戻りイントーネーション・発音もウチナーンチュが日常使用している形に戻った。新聞でも同様なことがあったという。共同通信がゴーヤーの表記を「ゴーヤ」に統一しようと提案したことがあり、沖縄タイムスと琉球新報が反対して「ゴーヤー」になったと、かつての記者仲間から聞いたことがある。同様なことは現在でもあるのをご存じだろうか。「シーサー」と「ユーフル(風呂)」。読者はどのように発音するだろうか?電波メディアでは「シ」と「ユ」にアクセントを置いている。「ユ」にアクセントを置いたんではに浸かったた気がしない。ゴーヤー、シーサー、ゆーふるにも己の名前を主張する権利(?)があるだろう。テレビのニュースやCMで耳にした時は思わず「アキサミヨー ヌー ナトーガ」とため息が出たものである。

言語は民族が悠久の歴史の中で形成したコミュニケーションツール。民族の魂アイデンティティーの中核的要素であり文化遺伝子である。しかし琉球諸語・沖縄語は独立言語とはいうものの国内ではアイヌ語、八丈語同様マイノリティーで優勢言語である日本語に吸収されつつあるのではないかと危惧している。しまくとぅばの話者が35%まで減少し危機的状況にあるなかで、普及継承と同時に「魂の表現方法」を守ることも大切なことである。今更、何でうちなーぐちなの?という人もいるが、世界のウチナーンチュ大会連携イベントで、ハワイのウチナーンチュが、100年前の新聞が「ハワイ語を取り戻そう」という記事を掲載、その中で「民族の言葉を話すことにこれ以上の喜びはない」とあった報告、強く印象に残っている。現在ハワイ語は英語同様公用語で第2言語になっているそうだ。幼稚園から大学院までハワイ語で教育しているとも。「しまくとぅばの日」制定10周年、年の瀬を迎えてゴーヤーの表記法復権に琉球諸語・沖縄語の力強い生命力を感じハワイに学ぶびたいと決意した。沖縄の言語は日本語の姉妹語ではあるが、独立言語であるということを今一度、認識したい。   2016年12月7日

しまくとぅば連絡協議会 副会長 名嘉山秀信

写真は10月26日 世界のウチナーンチュ大会連携イベントとして那覇市の自治会館で開催したシンポジウム「ハワイ語復興に学ぶ」の会場。